糖尿病はどうして起こるのですか

健康な人は血液中のブドウ糖の量が常に80〜100mg／dlのレベルに保たれており、この調節を行う一番大切なホルモンが膵臓から分泌されるインスリンです。インスリンの分泌が少なかったり、作用が弱いと、血中のブドウ糖をグリコーゲンや脂肪として蓄積することが十分にできなくなります。すると血糖のなかにブドウ糖がたまってその濃度が高くなり、その一部が尿に排泄されます。このように尿に排泄されたブドウ糖は、尿糖検査によって発見されます。

　尿中のブドウ糖は、糖尿病ばかりでなく健康な腎性糖尿という状態でも認められます。ですから、尿糖検査が陽性であってもすぐに糖尿病と考えるのは誤りです。

　尿糖が陽性の子どもたちの中から本当の糖尿病患児を発見するには、ブドウ糖負荷試験を行い、ブドウ糖を利用する力が低下しているかどうかについて検査しなければなりません。もし、ブドウ糖を利用する力が正常でありながら、常に尿の中にブドウ糖が認められるならば、それは腎性糖尿です。

　腎性糖尿は、インスリンの分泌や作用が正常であるにもかかわらず、腎臓における糖の排泄閾値が低いため尿糖が出現するもので病気ではありません。

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子どもの糖尿病の注意すべき点は

10歳以前の子どもの糖尿病は、肥満型体型を示すインスリン非依存型糖尿病よりも、やせ型のインスリン依存型糖尿病が多く、後者がその大部分を占めています。

　糖尿病の子どもはよく食べるがやせる、だるい、疲れやすい、喉が渇く、たくさん飲む、尿が頻回で量も多い、感情が不安定、怒りやすい、イライラするなどの症状を呈します。また、尿がたくさんでるために強い脱水症状を起すことも珍しくありません。インスリン依存型糖尿病は、発病までの経過が早く、症状も激しく、放置しておくと昏睡状態に陥ります。この病型では、体内のインスリンが不足しているので、注射によるインスリン治療が必要です。しかし、インスリン非依存型糖尿病は経過が比較的ゆっくりで、糖尿病昏睡に陥ることは少なく、運動療法や食事療法だけでよくなることが少なくありません。

　インスリン療法を続けている子どもが激しい運動をしたり、食欲がないために食べる食事の量が少なかったり、インスリンの注射量が多すぎると、血中ブドウ糖量が下がりすぎて意識障害を起こすことがあり、これを低血糖昏睡といいます。このような血糖が低くなりすぎたための昏睡は、前に述べた糖尿病そのものによる昏睡と見分けることが難しいので、注意深く区別しなければなりません。血糖が低くなりすぎたために意識障害を起こす前は、冷や汗がでたり、イライラしたりする前兆（前触れ）があります。

　低血糖による意識障害が軽い場合は、すぐに飴や氷砂糖をなめさせたり、ジュースを飲ませるとよくなりますが、手当が遅れた場合は、大変ですからすぐに専門病院に連絡する必要があります。

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糖尿病境界型または耐糖能異常と判定された子どもの保健指導をどのようにしたらよいですか。

境界型と診断された子どもで肥満のある場合は、肥満に対する食事指導を行い、積極的にスポーツに参加するよう指導してください。肥満がない場合は、肥満にならないようにスポーツに積極的に参加させてください。そして、少なくとも1年に1回は経口的ブドウ糖負荷試験を受けさせて耐糖能が正常になったか悪化したかを確かめてください。境界型は病気ではありませんが、糖尿病になりやすい子どもたちです。糖尿病にならないようにスポーツの好きな子どもになるように指導してください。

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